集団的自衛権をめぐるデモ参加の経験を詠んだ俳句が、さいたま市の公民館だよりに掲載されなかった作者の女性(78)が16日、東京都台東区東京芸術大学であった表現の自由を考える催しに出席した。掲載問題は最高裁まで争われ、違法とした判断が確定した。「声を上げれば、一緒に闘ってくれる人がいる」と訴えた。

 同大音楽学部楽理科と教員有志らが「芸術と憲法を考える」をテーマに続ける講座で、約170人が参加した。女性は2014年6月、「梅雨空に『九条守れ』の女性デモ」と詠み、地元の句会で秀句に選ばれた。秀句は毎号の公民館だよりに掲載されていたが、公民館は「公平中立の立場から好ましくない」として載せなかった。

 女性が市を相手取った裁判で、最高裁は昨年12月、集団的自衛権の行使をめぐり世論が分かれていても不掲載の正当な理由にならないとした二審・東京高裁判決を支持。清水勇人・さいたま市長が会見で謝罪し、2月1日発行の公民館だよりに掲載された。女性は会場で、この公民館だよりを掲げ、「俳句が日の目を見て、胸がいっぱいになった。七十数年前に戻るようなことになってはたまらないという思いだった」と4年半余りの心境を振り返った。

 ログイン前の続き続いてフランス出身の俳人で長野市に住むマブソン青眼(せいがん)さん(50)がマイクを握った。マブソンさんは戦時中に俳人らが治安維持法違反に問われた事件を調べ、長野県上田市に「俳句弾圧不忘の碑」を建立。共産党員や教育関係者、報道関係者らに対する弾圧の歴史に触れ、日本は同調圧力が強い社会と指摘し、少数への弾圧が多くの人の自粛を招き、「戦争に暴走する。昨年亡くなった(俳人の)金子兜太(とうた)先生もおっしゃっていた」と話した。(佐藤純)


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